古文書と書道な日々

本日は、毛筆書写検定準一級の受験日だった。
受験内容を覚えているところを記述しておく。

第一問　竹聲松影

第七問　
A　鑑賞　奇雲　気？　既習　閑達

B　をちこちのたつ（づ）きもしらぬやまなかに
　 おほ（ぼ）つかなくもよふ（ぶ）こと（ど）りかな

第一問は、過去問を見る限り、易しい漢字が出ているように感じていたが、旧字体の聲が出るのだからもう少し勉強が必要に感じた。

第七問は、過去問より、意味の分からない熟語が多いように感じた。
奇雲という熟語は、あるのだろうか？
間違っているのかもしれないが、帰ってから調べてもそれ以外に思いつくものがなかった。
既習　閑達も、難しい熟語の部類だろう。
過去は技術や旅行などの一般的な熟語が出ていたのだから、今回は突然、難易度をあげたのだろうか。
「気？」は、あまり覚えていないが、マ+つ+ゐのような漢字だったが、帰って探すも、思い当たる漢字が存在しなかった。

7問のA以外の理論は大体できたと思われるので、理論は受かったような気がする。

実技の方は、はがきが当初から心配だったが、不安的中で、1枚は空白があまりすぎ、一枚は行間がおかしかったのだが、2枚のうちどちらかを出すしかないため、行間がおかしい方を出すしかなかった。
字形もいまいちなため、合格点にはいかないと思われる。

次回に向けて、受かろうと受かるまいと、草書の法帖を覚える必要があると考えている。
思うに、草書は無数にあるだろうが、この試験でおもに出される法帖は決まっていて、
十七帖、書譜、真草千字文、草書千字文だけなのである。

もちろん、この試験のためだけでなく、上記四法帖を習得すれば、草書の基本は抑えられるのではないだろうか。
今後の古文書読解にも役立つに違いない。
最低でも読めるようにすれば、唐様の草書は相当強くなるのではないかと思っている。
理想は、それぞれ書けるようになることだろう。

これは、ぜひ自分の目標として実行したいと考えている。

毛筆書写検定にむけて、旧字体と書写体を覚えている。
全く文字が載せてあるので、下記のどちらか一方の一覧を覚えれば、問題ないようである。

日本書写技能検定協会編の「毛筆書写検定の手びきと問題集」
江守賢治著硬筆毛筆書写検定理論問題のすべて―文部省認定

日本書写検定編の教本は一般書店で取扱いがない。
ただし、過去問と合格基準が掲載されているので貴重な本である。



さて、両方一気に覚えたため、まだまだ整理がついていない。
多少まとめようと思う。

旧字体と書写体、両方に存在する字は下記の38文字あった。
両方かき分けるようにしたい。

＜新字体表記＞
囲,医,円,会,関,帰,挙,経,県,険,献,厳,号,国,参,寿,従,処,真,尽,図,数,声,摂,属,体,担,断,庁,鉄,浜,弁,宝,与,余,歴,炉

＜旧字体表記＞
圍,醫,圓,會,關,歸,擧,經,獻,縣,險,嚴,號,國,參,壽,從,處,眞,盡,圖,數,聲,攝,屬,體,擔,斷,廳,鐵,濱,辯,寶,餘,與,歷,爐
※書写検定では、會の字は人＋一＋田＋日が望ましいらしい。
※弁はほかに辨瓣でもよい。



覚えにくいものをいくつか挙げる。

■ル又の書写体
醫と聲は両方とも「ル又」が書写体になると変わるのであるが、
醫の場合、「第一画目が長い口+一＋乂」
聲の場合、「々+攵」
般の場合、「第一画目が長い口+一＋乂」でも、「々+攵」でも大丈夫で、両方の表記があった。
殿の場合、「第一画目が長い口+一＋乂」になっている。

■処の表記
処の旧字体は處、書写体は（書写体の）虎冠+匆、
拠の旧字体は據

■與と挙
与は、旧字体が與、書写体は与の最後の画が短い字になる。
挙は、旧字体が擧、書写体は手が直角のキの形になる。

■督の書写体
叔部分が寂のそれと同じになるだけでなく、目が日になる。

■体の偏
旧字体は骨＋豊で、書写体は身+豊。

■献
旧字体は獻なのに対し、書写体は、虎冠が書写体版になり、鬲の形も変わり、犬が丈+点になる。


くずし字用例辞典では、獻の教本の形と全く同じものは存在せず、鬲の部分や犬の部分まであえて変更する必要があるのかどうか、甚だ疑問である。
同様に、醫・聲・般・殿の問題も疑問である。

ただし、試験というのは教本が絶対なのであろうから、時間もないことだし、この場合は教本通りに覚えるのが得策なのであろう。

毛筆書写検定準1級の過去やテキストから、理論問題に出てくる古典作品をまとめた。


【中国】
鍾繇・・・宣示表
王羲之・・・蘭亭序、十七帖、秋月帖 　　集王聖教序、興福寺断碑、喪乱帖
王献之・・・中秋帖
唐太宗・・・晋祠銘、温泉銘
虞世南・・・孔子廟堂碑、昭仁寺碑
欧陽詢・・・九成宮醴泉銘、皇甫府君碑、化度寺邕禅師塔銘
褚遂良・・・孟法師碑、雁塔聖教序、枯樹賦
顔真卿・・・顔氏家廟碑、争座位文稿、祭姪文稿、祭伯文稿、建中告身帖
鄭道昭・・・鄭文公下碑
智永・・・真草千字文
孫過庭・・・書譜
懐素・・・草書千字文、自叙帖、聖母帖

【日本】
聖徳太子・・・法華義疏
最澄・・・久隔帖
空海・・・風信帖、灌頂記、三十帖策子
嵯峨天皇・・・光定戒牒、李嶠詩
橘逸勢・・・伊都内親王願文
小野道風・・・屏風土代、玉泉帖、継色紙
藤原佐理・・・離洛帖
藤原行成・・・白楽天詩巻、升色紙、粘葉本和漢朗詠集、曼殊院本古今集、関戸本古今集、大字朗詠集切
紀貫之・・・寸松庵色紙

【三～】
初唐の三大家・・・虞世南・欧陽詢・褚遂良
三色紙・・・継色紙（小野道風）、寸松庵色紙（紀貫之）、升色紙（藤原行成）
三筆・・・空海、橘逸勢、嵯峨天皇
三蹟・・・小野道風、藤原佐理、藤原行成

昨年秋、毛筆書写検定なるものの存在を知り、2級を受け、無事合格することができた。

今週末、毛筆書写検定準1級を受ける。
ほとんど準備をしてない状態なため、受かる自信はほとんどない。

特に草書を書く問題が一番自信がない。
草書は大体読めはするが、調べないと書けない。
恥ずかしながら、今までそれでいいと思い書道生活を送っていた。
今回あわてて覚えている。

草書は闇雲に覚えても覚えきれない。
いまさら時間もないので、過去問題をまとめてみた（1級も含む）。

登山白雲茶永日月風清意向秋多古満
花水長遠松生夜天高光我心玉雪開紅
雨上植物葉陽春新庭平本鳥有道草
烟香萬江柳涼氣澄滴菊桂帝此



図では、最後の一行の文字がない。
残念ながら、フリーの草書フォントを使っているため、フォント内に文字が存在しなかった。

これだけでも、今から重点的に勉強しようと思っている。